品位

起床は6時00分。

朝から蘇州へ行き、日本の大手メーカーの工場で購買担当者に懸案事項の評価試験結果の報告をした。
日本の一流企業なのに、先方担当者の一人は高圧的でまるでふさわしくない言動を繰り返し、私もさすがに反論するシーンがあった。
会社が立派なだけに彼の品位のなさにはあきれ返った。
このままだと実際に取引が始まればたまったものじゃない。
この人は「島流し」と言う言葉をよく使う。
自分は中国に放り出された、とも言う。
こんな考えでいい仕事が出来るはずもない。

品位と言えば、私の身近なところでも、品位が落ちている。
香港からの来客と夕食をともにしたが、その席に前職の仲間が出張中だったので合流させ、賑やかな食事となった。
場所はいつもの「花蝶」。
その後、香港からの来客のたっての希望で、いつものクラブへ行った。
私としては行きたくなかったのだが、案の定、小姐たちにしっかりボトルを空けられて、散財となった。

以前はこんな店ではなかった。
本質的な品位が落ちている。
この店が、移転後の客減少対策として結果的にせざるを得ないようになっている顧客単価アップ作戦が、客のボトルをどんどん飲むということなのだが、これがさらに来客数を減らしているということに気づきながらもこの罠に陥っている。
自分の首を絞めていることにうすうす気づいているだろう。

おそらく近い将来、店はつぶれ、経営者は多くの借金としがらみで苦しむことになるかもしれない。
私にとっては、ついこの前まで一緒にいろいろとやっていた間柄だけに、決して他人事にはしたくないが、経営者であるママの姿勢が独りよがりそのもので、今は手伝いのしようがない。
多くの客が離れて行ったし、今また私も離れようとしている。
夢を追いかけるのは悪いことではないが、事の良し悪しをしっかり判断できる基準が形成されていないからだ。

自戒の範としよう。