決別の後遺症

起床は5時。
今日、帰国するので荷造りをする。
7時に上海の友人に電話を入れたが、返ってくる言葉がとがっていた。
心に引っかかっているものを告げると、逆に一気に押しまくられた。
結果的に決定的な決別への筋道をつけてしまった。
この後の展開は見えている。
これ幸いに、友人は新しいものを求めてゆくだけだろう。

友人はいつも、即効的な決着を求めている。
しかし、私は時間が欲しい。
長い人生でわずかの時間をなぜ待てないのだろう。
一事が万事で、これまでの他の要因まで全て否定してしまう。
愚かしい。

気持ちを切り替えて、働いた。
仕事は順調だった。
チェックアウトして荷物を預けたまま、汐止にある大手PCメーカーを訪問した。
昨日のライバルメーカーだ。
知人がいて、今日の製品説明会をお膳立てをしてくれた。
知り合って3年だが、本当にいい人だ。
私の周囲の台湾の人は信用できる。

彼と昼食を食べに行ったが、緊張が緩み、朝の電話が気になってきたためか、身体が飯を受け付けない。
それどころか、急に腹が差し込むように痛くなり、食事中なのにトイレに駆け込むハメに。
恥ずかしいなど言っておれない程ひどかった。
中座した非礼を詫びたが、相手には本当に申し訳ないことをしたと思う。

タクシーでホテルに戻る途中にも商業施設のトイレに寄らざるを得なかった。
ようやくホテルに戻り、薬局で止瀉薬を買って飲んだ。
暫くして意を決してホテルを出、空港へ向かった。
一旦高速道路に入ったら国際空港まではトイレはない。
症状が止まるという自信はなかったが、いずれは行かなければならないので覚悟して出発したのだ。
便意を必死でこらえながら、まさに薄氷を踏むが如くギリギリの状態で約45分、何とか辿り着いた。

チェックインを済ませ、イミグレーションを通り、ラウンジへ直行、荷物を置き、トイレに駆け込んだ。
その後、ラウンジでメールを見ると、友人からの厳しい「結論」があった。
薬が効いてきたのか、便意は止まったが、今度は吐き気をもよおした。
食欲はなく、機内食も食べられなかった。

振り返ってみれば、今回の台湾出張は往きの便でも機内食をほとんど食べなかったし、トイレは日に三度以上行っていた。
そこへ今朝の電話である。
胃が痛み、その痛みが段々と広がり、ついには下痢がひどくなった。
悩みや煩わしい事を他へ転嫁して神経的な症状を抑えてきたが、今回はちょっと難しかったようだ。
自分の脆弱さを痛感させられた。

大阪に着いたら異常に蒸し暑かった。
苦しかった出張の記憶を流すほどに汗が出た。